空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

将来、地上波デジタル放送が高齢者向け&アニメ中心になっている可能性

さて、2011年の地上波アナログ放送の停波を待たずして、すでに地上波デジタル放送が開始されています。ですが、どれぐらい普及するかは全くもって予想できないようなのが今の状況と思われます。
しかし今日は「もし、地上波デジタル放送が普及しなかったら」という過程で話を進めてゆきたいと思います。

見たところ、現在の地上波アナログ放送と地上波デジタル放送において、明確な番組の差はそれほどないと思います。まあアナログ放送をそのまま引き継ぐのがデジタル放送なので当然といえば当然ですが。そしてもし、現行のアナログ放送視聴者から100%とは言わないまでも、それに近いだけ移行したとしたら、おそらく番組のコンテンツにはさほどの変化は起きないと思われます。それだけ大勢が移行したというのであれば、現在のテレビ放送がそれだけ指示されているとも言えるわけですから。

しかし、もしその移行率が80%なり70%なり、いやそれ以下だったりした場合、番組は今までアナログ地上波で行われていたものから大きく変わる可能性があるのではないでしょうか。それは、前述の例とは違って、現在放映されているテレビ番組が、デジタル受信装置を購入してまで買うものではない、と判断されてしまったのですから。

では、どういった人が移行時にテレビ離れを起こすかというのを考えてみると、多くはテレビの他にする娯楽が存在する人だと思います。それは例えばパソコン(インターネット)だったり、ゲームだったり携帯だったりと。現在は多くの人にとって娯楽過多で、娯楽自体の価値よりも娯楽をする時間が足りないような状況ですから尚更。そういった人は、テレビの優先度が他の娯楽よりも低かったということでしょう。
あと、「ワンセグ」も敵になる可能性があります。すなわりち携帯でワンセグ受信できれば、受信機買ってテレビで見る必要はないと。

では、どういう層の人がテレビの優先度を低くしているのかと考えると、おそらくは前述のパソコン、携帯などと馴染んでいる若年層〜中年層あたりではないかと。年齢にして30歳前後ですかね。実際私もその年代で、回りもそんな感じですし。

しかし、当然テレビが娯楽の主流という層も存在します。それは高齢者層。この年代の人たちはパソコンや携帯電話などをあまり使っていない人も多く、その分テレビの視聴時間も若年齢層より多いのではないでしょうか(当然それは個人によって違いますが、年齢層の傾向として)。

となると、移行率が低かった場合、ロストしたのは若年齢〜中年齢層で、逆に地上波デジタル放送を見るのは高年齢層が割合的に高くなる、という可能性は大きいと思われます。
そうなると、視聴率を上げるためにはその多くの試聴候補者がいる層向けに作った方がよいということになりますから、それ以降の番組は「高齢者向け」のものが増えてくるのではないでしょうか。逆に言えば、離脱して他の娯楽に行った層向けの番組は少なくなると予想されます。

ただ、いくら高齢者層向けの番組といっても時代劇や「お達者倶楽部」的なものを想定してはいけないと思います。おそらくは、現在の高齢者にさしかかっている層が望む番組が、そのまま高齢者向けになるのではないかと。今で言うオジサン、オバサン向け番組が、そのまま老人向けになっている可能性もあるでしょうね。我々昭和50年代生まれの人間も、老人になったときに盆栽を弄っているということは考えにくく、その年代に即した趣味を持っていると思いますから。そう考えると、「老人」のイメージも10〜20年後にはだいぶ変わっているでしょうね。


さて、このパターン、実は似たような歴史がすでにあったのではないかと思います。それはAMラジオ。
現在、ラジオの主なリスナーは高齢者です。少なくとも夜7〜8時くらいまでに関しては。深夜でもNHKの「ラジオ深夜便」という番組は比較的高齢者向けですが、時間帯トップの常連だったりします(これを破ることが、AM同時間帯の最大目標でもあるみたいなことをたまに聞きます)。昼間でも20年以上続いているラジオなんてのはけっこうありますからね。まあリスナーと共に番組も年月を重ねてきたという感じでしょうか。

つまり、今のAMラジオ的な現象が、将来の地上波テレビ放送になるという可能性も十分あるわけです。

まあ当然若い人もテレビ需要は存在するでしょうけど、これは地上波ではなくてCSの専門チャンネルがそっちを請け負うようになるのかも。ラジオでもAMに対してFM放送があるように。


さて、ここでもうひとつ、ラジオと照らしあわせていると、その時の地上波放送が高齢者専門のものだけではなく、もうひとつ数が増えそうなものがありました。それはアニメ。

かつて、ラジオの夜間〜深夜時間帯は、かなり多くの番組がアニラジ、つまりアニメ、声優系のラジオが増加したことがあります(というか今も一部でその傾向あり)。それは、アニメの場合ファンはそれなりに見込め、また熱中度が高い人が多いので、それを聞いてくれる可能性が高いためだったのではないかと。あと比較的番組作りがやりやすいことと、スポンサーのつきやすさもあったと思います。

それのパターンがテレビに当てはまらないとは言えないのではないでしょうか。つまり、アニメは熱心なファンが多く、しかもテレビがメディアとしては(現在のところ)最適です。となるとアニメファンはデジタル放送に移行する確率が高い、でもって地上社デジタル放送n視聴者全体に占めるアニメファンが多くなる、ということはアニメを放映すると視聴率を取りやすいとなれば、アニメが放映されるのは必然。

この前、『2011年にテレビアニメの構造ががらりと変わる可能性』で、地上波デジタル放送でアニメがどう変わるかというのを書きましたが、以上の考えで行くと、全体的に占める割合が急増する可能性も否定できません。ま、もちろん製作過多から競争も激しくなるかもしれませんが。


ここまで書いたことはひとつの可能性ですが、こういう可能性もありかなと。でもなあ、少しは収益構造を改良して、下にもうまく金が回らないと、その前に崩壊しそうですけどね。

さて、10年後、テレビはどうなっているのでしょうか?