空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

萌え系4コマの需要とまんがタイムきらら

最近、ちょっとまんがタイムきらら系を読みあさっています。近所の本屋には最新刊しかないので、Amazonとかで注文したり。
おすすめは『ひだまりスケッチ』『GA〜芸術科アートデザインクラス』『教艦ASTRO』『HR』『かみさまのいうとおり!』『三者三葉』等々。というかほかにもあるけどまだ全部読んでないので。久しぶりに「漫画の開拓」なるのもをやれてちょっと嬉しいなと。

ひだまりスケッチ (1) (まんがタイムKRコミックス) GA 芸術科アートデザインクラス (1) (まんがタイムKRコミックス) 教艦ASTRO 1 (まんがタイムKRコミックス) HR ~ほーむ・るーむ~ (1) (まんがタイムKRコミックス) かみさまのいうとおり! (1) (まんがタイムKRコミックス) 三者三葉 (1) (まんがタイムKRコミックス) (まんがタイムきららコミックス) 


そういえば、以前こういうふうな漫画開拓をしたのはいつだったかと思い返してみると、高校時代にまで遡りました。それはまだ、少年4誌やヤングマンガ誌しか知らなかった私が薄かったアフタヌーンを見つけて、「こ……こんな面白い雑誌があったのか!」と感動して単行本を読みあさったのが最初(ちなみにそのあたりの連載は『寄生獣』、『ワッハマン』、『岸和田博士の科学的愛情』、『ああっ女神さまっ』は6巻あたり、『ディスコミュニケーション』の序盤、『勇午』『地雷震』『無限の住人』『ヨコハマ買い出し紀行』が連載開始、『EDEN』の遠藤浩樹が読み切りで四季賞等々超黄金期)。そして次々に新しい雑誌に手を出していきました。そして面白いマンガをどんどん見つけてゆきました。さすがに成年誌は当時の騒ぎ*1もあったし入手できる本屋もなかったので無理でしたが。『アフター0』に出会ったのもその頃です。

で、実は一時期『まんがタイム』系の雑誌も買っていました。もちろん今みたいにきらら系ではなくて、植田まさし系の漫画が表紙のものです。やけに種類が多かったのを覚えています(今と同じですが)。ちなみに巻末で『小さな恋のものがたり』が連載していた時代です。
しかしこの後受験でアフタヌーン以外ほとんどをシャットアウトしてしてしまうまで、わりとこういったのも読んでたんですよね。特に植田まさし系の色があまり濃くない系列誌のほうを。さすがにお金に限界があるので興味がない他系列の雑誌は1号で買わなくなりましたが、それでもこれは1年近く買っていたような気がします。



さて、現代になって再びこういった4コマ雑誌(まあタイプは違いますが)を読み出して、当時、何故そういったマンガを読んでいたかという理由が最近ちょっとわかってきました。それは、この手のマンガって「かなり気楽に読める」のですよね。
今、机の横にこれらの雑誌とか単行本が置いてあるのですが、ちょっと疲れたときの休憩用に数分読んでまた置く、ということが出来るのです。極論数秒でも4コマ1つは読めますし。寝る前とか、『シグルイ』読むのは疲れるけど(例が極端)、きらら読む程度なら力抜いて読めるいいかなとか(とはいっても、予想以上に面白いマンガだと、疲れとか気力とか関係なしにのめり込みますけどね)。
あと、どうしてもストーリーものだと一定時間を食ってしまいますし、そしてものによってはのめり込んで、寝る時間を削ってでも先を読みたい、となります。そして締め切りは刻一刻と……しかし、そういう気分じゃなくて、ちょっとだけ目を通す程度がちょうどいいみたいな気分ってあるんですよね。


別にストーリーもの、4コマどっちがいいというのではありません。ただ、今までのマンガが抑えていなかった、言うなれば「ライトマンガ」みたいな層を、こういった4コマ雑誌のマンガは満たすことが出来たんじゃないかなあと思いました。それはさも、ヘビーゲーマーでもDSで脳トレやどうぶつの森を遊ぶように。



では何故、それこそ昭和の時代から4コマ漫画誌というのはあったけど、今このように注目され始めたのかというと、これはまあお気づきの方も多いと思いますが、作品のタイプが変わったからでしょう。
一昔前までは、これらの雑誌は植田まさし系の、中年寄りを想定しているように思えます(ちなみにサラリーマン世代には、こういった力を抜いて読める雑誌が人気あるのも納得。そういえば主婦向け実話系も4コマが多いな)。イメージもそういったマンガのものだったでしょう。しかし、きらら系の雑誌は、どちらかというとオタク系に向けられているのは見ての通りです。故に、そういう絵が好みで、且つ4コマを望む層に受け入れられ、需要を満たすことができたのではないかと。


つまり、「4コマ雑誌」の「若者向け(萌え系)」という、ブルーオーシャンに飛び込んだのがこれらではないでしょうか。ついでに言えば、萌え系マンガは得意だけど4コマ雑誌のノウハウがない出版社(角川など)と、4コマは得意だけど萌え系マンガのノウハウがない出版社(双葉社や芳文社)の間で、一番最初に切り込んで他が参入する前にノウハウを構築したきらら系がメインになったと思います。とはいえ、雑誌単位ではなく作品単位では非4コマ雑誌の出版社も『らきすた』などでそういった需要に応えてきているかも。
ちなみにこれらは、作家が同人誌出身だからというのがよくクローズアップされますが、それは目的ではなくて、向いている人を集めたらそうなったという結果だと思います。

だけどこれのきっかけとなったものは、やっぱり『あずまんが大王』が大ヒットしたことからの流れなのかな?そうなると偉大なマンガだなあ。まあそうじゃなくても十分面白いマンガですが。

あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)



さて、既存のマンガと棲み分けが出来るゾーンなので、急激に大きな流れとはならないまでも、しばらくはこのきららのような4コマ市場は存続すると思います。いや、下手すれば植田まさしマンガのように変動が少なく、一定のファンをずっととり続ける安定市場になるかもしれません。ただ、あまり大きくなると、今まで4コマを扱っていなかった出版社が乗り込んでくる可能性も否定できませんが。このあたりの動向には注目したいと思います。


あ、でもなんかこれ書くのできらら系ばっかり読んでたら、濃いマンガが読みたくなってきた。なんかさっぱりした料理とこってりした料理のバランスみたいだなと。さて、何を読むか……

まんカス シグルイ 9 (チャンピオンREDコミックス) 覇-LORD- (9) (ビッグコミックス) 

*1:有害コミック規制運動