SSは何故減ったのか。そしてSS書きはどこに行ったのか

『SS』という言葉で何を思い浮かべますか?
「サービスステーション」を思い浮かべた人はまあ普通、というか車よく使ってるかも。「セガサターン」を思い浮かべた人は、その時代からのゲームユーザー、「スクリーンショット」の略だと思った人は、ややPCに詳しい人、もしくはネトゲユーザー、そしてナチスドイツの親衛隊を思い出した人は、歴史好きかWW2or軍隊マニア、もしくは「ヘルシング」のファンかもしれません(どれもあまり本気にしないように)。

しかし、ネット上で『SS』といえば、多くの人が「サイドストーリー」もしくは「ショートストーリー」のことだと思う時代というのがありました。


知らない人のために説明しますと、これは、ある作品に対しての二次創作で、文字通り本編から派生したストーリー(小説)を書くものです。それのネタはコンシューマソフトのものから当時まだ勢いの残っていたエヴァなどもありましたが、ダントツに多かったのはPCゲーム関連のもの、つまりエロゲー関連で、特に当時の大人気メーカーであったLeafとKey系のものが主流でした(『雫』『痕』『ToHeart』『ONE〜輝く季節へ』『Kanon』『AIR』あたり)。まあPCゲームの場合、原則PCを持っていることが条件となりますので、ネットどころかパソコンがまだ普及途上の時代にネット上で他のコンテンツに比べて話題になりやすかったというのもあるでしょうね
。当時はそれこそSS専門のまとめサイト(ニュースサイト、というかReadMeタイプのもの)みたいなものもありましたし、KeyのSS投稿用掲示板には毎晩数本がここにアップされるような状況でした。

ちなみに文章だけのSSのみならず『DNML』*1なんてものもありましたね。あ、急にBM98とかGIFアニメとかヤケに懐かしいの思い出してきたけど、それを話し出すと別の方向に行きそうなのでまた今度。

ちなみに私もまったく別の名前でSS書いてました。ええ書いてましたとも。だけど当時の文章は死んでも見せられない、というか自分でも読みたくないのでもうどこにあるかもわかりませんが。つか、当時SS書きだった人で、ニュースサイトやらブログやらやっている人、またはプロも多いのではないかと(つか、知り合いにも何人かいるし)。


しかし、最近ちょっとそれを思い出して振り返ってみると、かなーりそういったものって減ってしまったなあと思うのです。SS専門のサイトも減り、前述のKey掲示板でも月に数本しか投稿されてませんし。いや、もちろんあるところにはあります。2chのSSスレでの投稿のような。だけど、個人でSS専門のサイトってのはだいぶ減りましたよね(だけど今回調べるために巡回したらちゃんと残っているところもあって、なんか懐かしくてしみじみしてしまった)。

これは何故かと考えてみるといろいろ思い当たりますが、やはりコンテンツの母体数が増えてしまったために、二次創作をあれだけたくさん集められる作品がなくなってしまったのが主かと。つまり、ファン活動として作品を作るという情熱が、昔のように一つではなくて、多数のものに分散してしまったというわけですね。
昔は、『ToHeart』のあとに『ONE』、その次に『Kanon』……というように、ユーザーの情熱が薄くなってくる度に新作が出て、またそっちで盛り上がりを見せました。しかし、『AIR』以降あたりから他のPCゲー含めたあらゆる娯楽への分散が始まり、作り手、読み手とも人数が減っていったのではないかと。さらには、やはり読む人があっての作品なので、スパイラル的に作り手の情熱も薄くなってしまったという可能性があります。
これは男性向け同人誌市場にも言えるかもしれません。それこそ2000年近辺は、東館の半分(たしか123ホール)をLeaf&Keyというジャンルだけで埋めてしまったこともありました。それまでも男性向けではセーラームーンブーム、エヴァブームとありましたが、おそらくここまでまとまった人気のあるジャンルはこれ以降出ていないのではないかと。
ちなみに「SS作家が同人誌に流れた」というのもあるかもしれません。


まあ、SSは少なくなったとしても、表現することが少なくなったわけではありません。FLASHものなんてのは相変わらずありますし、最近ではオリジナルゲームも多くなっています。というか、昔のSS書きがこういったところでゲームを作っていたり、オリジナルの小説を書いたり、またはブログでこのように文章を書いていたりするってこともあります。ですので、創作への情熱が昔と比べて減っているわけではないと思うのですね。それにSSだって完全になくなったわけではなくて、ちゃんとあるところには10年近く経った今でも存在してしますし。

ただ、かつてのエヴァやそれらPCゲームのように、超巨大ブームとしてひとつの流れになるものがもう一度生まれて、みんなでそれに集まるような状況が再来しても面白いかなとは思います。

*1:製品(『ONE』や『Kanon』など)から立ち絵や背景、BGMなどの素材を利用して二次創作ビジュアルノベルを作成するツール。遊ぶにはそれぞれの製品CDをドライブに入れておく必要があった。ただ、主に葉鍵系のソフトしか対応しておらず、『AIR』ブーム以降はほとんど作られなくなってしまった。Wikipedia - DNML