『コミックヨシモト』が中年層向け漫画誌だった理由を考えてみる

月末、本屋の隣にあるATMに並びながらぼーっと漫画雑誌を見ていると、自分が手に取ったことがあまりない雑誌も数多く並んでいました。そして、1月前にはここに『コミックヨシモト』があったなあとか思い出しつつしみじみと。
しかし、何故『コミックヨシモト』が若手芸人目当ての年代ではなく、中高年向けの漫画ばっかり載せて発行したのか、謎でした。しかし、帰ってきてちょっと調べてみると、ある納得できる理由が見つかったのです。


このところ、出版不況といわれておりまして、漫画も例外ではなく部数がどんどん下がってきています。

社団法人日本雑誌協会

週刊少年ジャンプの600万部強は夢のまた夢(まあこれは当時のラインナップがすごすぎたってのもありますが)、月刊少年ジャンプは休刊、他の雑誌も部数を大幅に減らしています。前にも書きましたが、昔はヤンマガとタメをはる100万部超の雑誌だった『ビックコミックスピリッツ』も、40万部弱になっていたりと、軒並み下がり傾向は止まりません。
しかし、これを見ていると、なんだか意外と売れているなあという雑誌が目につきます。それは『ビックコミック』『ビックコミックオリジナル』『週刊漫画ゴラク』『週刊漫画TIMES』といった雑誌。それはつまりラーメン屋においてありそうな雑誌……ではなく、中年男性向けの雑誌。まあ印刷部数と公称発行部数の差はありますが、それでもこのような中年向け漫画雑誌が思ったより売れていることがわかります(少なくとも前者2つは印刷部数だし)。

ただ、曖昧な記憶で申し訳ないのですが、たしかこの『ビックコミック』『ビックコミックオリジナル』は、10年前も100万部強程度だったと思います。それで昔は『ビックコミックスピリッツ』より下だったけど、いつの間にか抜き返してたという感じで。……いや、「抜き返した」というよりも、「相手が勝手に落ちてきた」といったほうが正確かもしれません。
つまり、漫画不況の影響で発行部数を落とした雑誌に対して、これらの雑誌は下げ幅が小さいのではないかと。そしてその理由はこれらの読者が、漫画不況の一因でもある少子化(言うまでもなく特に少年誌)と影響ない層な上、その層自体の人口も増えてきている為に、減る分が他の年代層向けの漫画誌に比べて少ないのではないでしょうか。
そういえば昔、サルまんに「老人向け漫画」なるネタがありましたが、現在、これらの雑誌がその層をカバーしつつあるのではないかと思います。


あと、これらの雑誌って、現在漫画雑誌流通のかなりの部分を占めてきているコンビニ置きがされやすいのですよね。見てみれば分かりますが、メジャー誌以外でおいてあるのは、こういった雑誌ですし。あの創刊からふらふらしていた『COMICジャンク』でさえ置いてありましたしね。ついでに言えばあとはアウトロー実話系(ナックルズとか)や主婦向け実話系も多いです。あと麻雀パチンコ雑誌……って、コンビニの漫画雑誌って意外とアウトロー。


たしかに、ここに目をつけたのだとしたら、『コミックヨシモト』がああいう漫画を載せていたのにもある程度の説得力があります(そういえば表紙がまんまビックコミック風だったし)。しかし、それならば肝心なことを忘れています。というのはこれらの漫画誌は、全て昭和に創刊された長寿誌だということ。そして連載陣も『あぶさん』や『浮浪雲』、『ミナミの帝王』を例に取るまでもなく、長寿マンガや大御所の作品が多いです。つまり、ここまで安定して読まれているのは、何十年という実績があるためだと思われます。テレビで言えば、時代劇みたいなものですね。
そういえばこの前、『漫画雑誌における大いなるマンネリとそのジレンマ』というのを書きましたが、これらの漫画はマンネリであって成り立つところではないかと。


ですので、『コミックヨシモト』が生きていくためには、1号だけで動向を決めるのではなく、10年に渡って育ててゆく覚悟が必要だったのではないでしょうか。

しかし最近は、『コミックガンボ』やら『コミックチャージ』やらサラリーマン向けの創刊が目立ってますが、これはこれらの絶対安定層のすぐ下の層に切り込むために戦略かも、と思ったりします。ただ『ビジネスジャンプ』『モーニング』の壁は高いと思いますが。いや、今ではそうでもない……かな?