空中の杜

旧名「空気を読まない中杜カズサ」。

評価対象外のPCスキルがあると知られていると、かえってマイナスになるのかもという話

ちょっと気になるエントリーがありました。

「こういうの(プログラミング)得意なんでしょ?作ってよ」

人から受けてしまったCGI作りが超めんどくさい。
相手は以前仕事を手伝っていた某マスコミ人(タダ働き)
代金は一円も出ない。サーバー費も持ち出し。仕様もゼロから考えないといけない。どんな風に作るか聞いたら「ここのサイトみたいなの」って、おい。
あー、なまじ暇な時期に受けてしまったのがいけなかった。時間パツンパツンな今だときつい。保守にも時間はとれない。
というかそれ以前にそこまでする必要を感じない。なんでこんなのタダでやってんだよ。
あんたは俺が借りを作ってるつもりだろーが、俺だって相当の犠牲を払ってんだぜ。言わないけどさ。
俺はあんたのコマでも弟子でも子分でもねぇ。
ビタ一文もよこさずに「これは仕事だ。きっちりやれ逃げるな」だと?あーやだやだ。ほんと人に傲慢。

なんかこれを読んでいるといろいろ思い出してきたことがあるので、ちょっと書かせていただこうかなと。だけどいきなり真正面から書いてもわかりにくいし面白くない上に愚痴の連続になりそうだったので、ドキュメント仕立てで。



…………

さてある会社に、普段からPCが好きなためにいろいろそのへんのスキルを持っているAさんという人がいました。そしてAさんはそのことを公言していました。まあちょっとした自慢ですね(自慢になっているかどうかはともかく)。ただしその会社は直接PC系の開発などとは関係がない会社でしたので、Aさんは普段の仕事をこなしていました。

ある時、Aさんは前日にIT系のセミナーにでも行ってきて影響を受けたらしい上司のBさんから「PCわかるならこれやってくれ」と、事務所内のシステム構築(プリンタサーバー、ファイルサーバーなどの構築、システムウェアの導入、その他もろもろ)を頼まれました。まあ時間は食うけど頼まれた仕事だしやろうかなと思いAさんは承諾しました。まあそこには「評価が上がるかも」という下心もあったのは否定できません。
しかし、思ったよりそれは大変で、自分の本来の仕事時間を圧縮してしまいます。それでもなんとかAさんは休日出勤までしてそれを構築しました。

さて、終わってから上司に言われたことは褒め言葉ではなく「遊んでいて仕事が遅れていた」という叱責。思っていたのとは逆の反応に驚いたAさんは上司にそのシステム構築の件を話しますが、上司は「あれは好きで引き受けたことだろ?」とのこと。おまけに上司はその後の運用までその人に(もちろん職務ではなく)任せようとしました。上司はきっとこのAさんは好きでPCに触っているのだから、喜んでするだろうと思ったのでしょう。
しかしAさんはそれを断りたかったのですが断り切れず、しばらくしてから退職しました。ちなみに最後の義理として引き継ぎはしようと思いましたが、当然そのスキルを持っている人はなく、引き継ぎは中途半端なままAさんはいなくなりました。
その後、その会社のシステムにトラブルが発生しましたが、トラブルの出来る人間はいません。そこでAさんにただでやらせていたシステムの保守を外部に委託したのですが……その時表示された金額は、上司にしてみれば目の飛び出るようなもの。Aさんはただでやっていた作業なのに……
そしてその部署は不採算事業ということで、数年後になくなりました。

…………


かなり脚色はしてありますが、「PCの出来る社員が無報酬で働かされて、上司にはそれを好きでやっていると思われている」の構図はよく聞きました。
あ、言っておきますけど私のコトじゃないですよ。まあ似たような体験をしたことは何度かありますけど(笑)


どうも昔から思うのですが、PCに関しての知識って、それが職務に直接かかわるものでもない限り、なんか知っていても評価されないですよね。まあそれは仕方ないのですが、どうも余計な仕事を任されるわりに、それが簡単なことと思われて評価されたないというか。
それよりも、「好きでやっている」と思われるのはどうかと。システム構築はプラモじゃないんだよ……

なんか「ほどほどにやって、少しずつ成績を上げている人が評価が高く、出来るけど波がある人はたとえほどほどの人より成績が上でも評価が低い」という、日本型の間違った成果主義と似ている部分があるように感じるのは私だけでしょうか?
それになんか、率先して手を挙げた人が黙っていた人より損をする構図ってのもあるような……

で、結局何が言いたいのかというと、「評価対象外のPC、ネットの知識は必要最低限は隠しておいた方がいいよ」というなんだかイヤなアドバイスと、「その作業を外に委託したとき、どれだけ金がかかるか知ってから頼め!」というPC系を知らない上役への愚痴だったりします。


まあ、もちろんこういうのを正しく評価してくれる会社も数多くあるとは思いますけどね。